五感の使い方と個性

 五感とは視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のこと。NLPでは嗅覚・味覚・触覚の3つを体感覚としてまとめ、視覚・聴覚・体感覚の3つに分類しています。
 人間の脳をコンピューターに例えてみると、人は「五感を使って情報をインプットし、脳の中のプログラムが作動して情報を整理し、五感を通してアウトプットされる」と説明することができます。五感の使い方には個性があり、それを知ることでコミュニケーションがうまくいったり、記憶力が上がったりします。
 今回はその五感の使い方の個性についてのお話です。

 私には3人の娘がいますが、五感の使い方が全く違います。まずはそれを見事に表したエピソードをご紹介します。

 まだ娘たちが小学生だった頃、私が買い物から帰ると、夫と娘たちがリビングで「大喜利」遊びをしていました。お題をもらいそこから連想したことを発言するという遊びです。
 夫の前に3人が並んで座っています。
「次のお題は・・・夏休み!」と夫が告げると、三女が真っ先に「はい!はい!」と手を挙げます。夫が指す間もなく「麦わら帽子」「スイカ」「海」とどんどん出てきます。その合間を縫って次女が手を挙げ「絵日記を書くためにお母さんと電車に乗って・・・」とお話を語り始めました。長女に目をやるとそんな妹たちを見て笑い転げています。夫が長女を指すと大笑いしながら手を振って「わかんなーい」と言いながらまだ笑っています。

 真っ先に手を挙げた三女は五感のうち視覚を優位に使っています。頭の中にすぐに映像が浮かぶタイプです。映像は次々に変化します。それを言葉にしようとするのでつい早口になってしまいます。また話が飛ぶ傾向にもあります。映像に映っていることを話すので本人としてはつじつまが合っていますが、その映像を見ていない人にとっては突然話が変わったと感じてしまうのです。
 次女は聴覚を優位にしています。聴覚タイプの人は考えることが得意なので、お題から得た情報からストーリーを考えたのです。理論的思考の人は聴覚タイプと言えます。音に敏感だったり、言い回しにこだわりがあったりします。学校の授業で板書よりも説明が多く一本調子で話し続ける先生は聴覚タイプと言えます。
 笑い転げて答えられなかった長女は典型的な体感覚優位なタイプです。入ってきた情報の内容よりも感覚的なことに注意が行きます。
 今回で説明すれば「夏休み」というお題をもらったが、予期していなかったことにびっくりしてしまった。妹たちがどんどん答えるのでさらにあわててしまった。笑っているうちにさらにおかしくなって何も考えられなくなった。ということが起きています。
 体感覚の人は会議などで当てられた時に答えられないことが多いタイプですが、決して何も考えていないわけではありません。体の感覚が落ち着けばきちんと話すことができます。
 また幼い子は体感覚が優位です。体の快不快に敏感です。おむつが濡れていると赤ちゃんが泣くなど、思い当たることも多いと思います。
 親に叱られている時は、怒っている親から感じた感覚にとらわれていて話はほとんど耳に入ってきません。ぼーっとしている我が子に「話を聞いていないっ!」と怒鳴ってしまった経験があるかもしれませんが、まさに子どもは話を聞いていないのです。

 この様に誰にでも備わっている感覚ですが、使い方によって個性が出てきます。客観的にその個性を捕らえられれば接し方も改善できますし、まんべんなく五感を使えるようにもなります。
 外見だけではわからない個性。その子らしさを理解して伸ばしていってあげたいですね。

聴くこと

 あなたは話すのが好きですか?それとも聞く方が好きですか?
 好き嫌いとは関係なく、いつの間にか聞く側になっていたり、反対に話題を提供する側になっていることがあるかもしれません。
 会話は話のやり取りです。楽しい話題を聞いたり話したり。その場にいる誰もが楽しめたらよいですね。
 しかし時に自分の話したいことを話せなかったり、聴いてもらえなくて不満を持つこともあるのではないでしょうか。

 現代はメールやSNSで自分の意見を発信できるようになり、たくさんの人が楽しく利用していますが、その理由の一つに〈話を聴いてもらえる〉ということがあります。
 自分の考えや意見、感想を、誰にも邪魔されずに自分の思いのままに伝えられるからです。話をしている途中で反対意見を言われることもなく、話を取られることもありません。じっくり話を聴いてもらうことと同じです。
 この様に人は自分の話を聴いてもらいたいと思っているのです。そして自分の話を聴いてくれる人が大好きです。話を聴いてもらうだけで、心が軽くなりスッキリするものです。高齢者のヘルパーさんは介護の仕事よりもお年寄りの話を聴くのが主な仕事だという方も少なくありません。夫婦間でも妻の夫への一番の要望は、アドバイスよりも〈10分でもいいから話を聴いてもらうこと〉だというアンケート結果も出ています。

 また聴くということは相手を尊重していることにもなります。聴かれている方は自分を大切にされていると感じ、自尊感情が育ちます。
 しかし聞くという漢字に「聴く」があるように、相手が心地良くなる聴き方とそうでない聞き方があります。漢字の本当の意味は分かりませんが、「聴く」は10の目と耳と心で聞くことだと言われます。ただ聞くことと、相手を尊重する聴き方・・・それはどこが違うのでしょうか?

 自分の心のギアをニュートラルに入れて、真っ白なキャンバスになっていることがまず大切です。すると自分の感情や考えが入らず相手の話がそのまま入ってきます。そしてその人に起きた事実と、感情、考え、行動を整理して聴き取ります。
 そして相手が話やすいように相槌を打ち、動きやペースを合わせる…。
 そうすると相手は話が弾み満足し、こちらも相手を理解でき、心を通わせることができます。

 そんな知識を得て、子どもの話をよく聴くことを心がけて育ててきたおかげか、娘たちは何か困ったことがあると私に話をしてきます。早くママに話を聴いてもらいたくて学校から急いで家に帰ってくるという事もありました。話を聴いて共感してあげることは子ども達の心のプレゼントになるのだなと実感しました。
 そして私は3人の娘たちにこう言っています。
「今はママがみんなの話をよーく聴いてあげる。でもみんなはいつか家を出ていく。そしていつまでもママはいない。だから将来は姉妹がお互いの話をよく聴いてあげる存在になるんだよ」

 聴くことは、人を喜ばす最も身近で簡単にできること。子ども達の為にも話を聴き合える輪を広げたいなと思います。